嗚呼──ねぇ、お願い?
否──願いじゃなくて、おもい。
そう、僕は──いつだって、思うだけだった。

第三話 夢鬱<5>

「……あは。あなた、思ってもみない人だった。
否──「思っていた」人なのかも、しれない。」

凄く──含みのある、言葉。
……裏の掻きあいで負けたら終わりなんだけど。
でも──流石、というか。
怖い──とか、おぞましい──とか、いうより。
純粋に、暗い。闇の──心。

「ねぇ……本当に、答えてよ。聞くだけとか、喋るだけの人とかって
モテないのよ?まあ、心配以前の問題でしょうけど──
一回、死にたい?」

そう言って──茜月は、ポケットに手を突っ込んだ。
どこに入っていたんだそんなもの──というような。

黒光りする物体。

解りやすく銃──だった。
リボルバータイプの。詳しくは解らないけれど、弾は入っている様子。
慣れた手つきで、ぼくの額に押し当てる。
指は勿論、引き金に。

「……は。」

笑って──しまった。
なんで……なんで、なんだろう。
こんなにも──こんなにも、上手くいく感覚。
こんなにも──思い通りになる、感覚。

「……だから、本当に似合って無いんだよ…美人だけど、茜月の顔は、
どちらかというと可愛いし。
だから──普通に、笑えるように。ぼくらと……」
「それ以上言ったら、本当に撃つ。」

がち、と額に当たる。
ぼくの頬を伝うのは、やっぱり冷や汗かな……












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