きみはしっているだろうか。
ぼくのゆめを。
しらないんだろうね、ぼくもしらない。
ゆめのなかでは、ぜんぶちがう。

第二話 夢憂<10>

「ドンマイ……災難だったな、久遠…
まあ、今度千御っちと一緒にカラオケ行こうぜ?」
なめてるのか慰めてるのかわかんねぇ、蒼也……
おまえはいいかもしれないけどな、ぼくは絶対嫌だ!
必要以上に絶対関わりたくない…!

それに、薔薇さんも加わったら……
千御なんて、まだいい。まだ子供の悪ふざけだ。(とてつもなく悪質だけど)
でも、薔薇さんが加われば、何がいくつあっても足りない。
しかも、薔薇さんと千御は直の先輩後輩の仲。
千御と薔薇さんは気があって(まああんな性格だからだ)仲が良い──…?
とにかく。タッグだけはお断りだ…!

でも、そんな千御もいなければ困るのだ──絶対に。
千御がいないと殆どのことが始められない、そのくらいに──大切だ。
しかし──損も大きい。
ゆえに──秘密兵器、だ。隠密兵器にも近い。

「……んで、でもなんかしないといけないよな。どうする?久遠。」
笑いあふれる雑談から、蒼也の顔が真剣になっていた。
蒼也の──いわゆる”仕事用”の顔だ──…
ぼくは、その返答に対する回答は決まっていた。
行動──する。勿論だ。
ぼくは──ぼくは──……

「…一回、前の作戦をやってみる。あいつだって、黙ってはいられないはずだから。」
ぼくの意志は、固い。
仲間のためには──動かないと、ならない。
それがたとえ、”仲間になるかもしれない”の人でも─……
「……ついに実行するのね。まあ、頑張りなさい」
薔薇さんの、珍しい言葉。
薔薇さんの、心の奥底の素直な気持ち。
「……本当、無茶禁物だからな?」
蒼也の、心配そうな顔。
蒼也の、心配してくれる言葉。

正直、ビビッている。──実は、結構賭けなのだ──
きっと大丈夫──じゃないかもしれない──けれど。
やらなきゃいけない。
茜月茜を──”保護”しなくちゃ、ならない──……




inserted by FC2 system