ゆめのなかでは、みんないっしょだ。 だって、ほんとうにそんざいしていないんだもん。 かなしみもくるしみも、きえてしまうんだもん。 夢憂<9> 「……っ、うあ……」 夢を見た。 昔の──昔の、夢だ。 まだぼくは、特別なことに慣れていなくて。 自分を嘆いていて。 永遠を恨んでいて──…… 「ああ、もう。おきよう…」 ぼくはそう言ったものの、起きられなかった。 ……ぼくは、元々低血圧なんだ… 「ほらー!起きなよ、久遠!!」 ……呼ぶ、永遠の声でさえ子守唄に聞こえる。 「……まあ、間に合ったからいいじゃん。」 蒼也の声。 「本当、単細胞というか単脳ね。」 薔薇さんの声。 「いや…そりゃ脳はひとつだろ…」 蒼也の突っ込み。 「あら、脳の器官がひとつだけなのでしょう?」 薔薇さんの冷たきお言葉。 いやいや、それは流石に… 「それで?千御っちに例のブツはもらえたんだろ?」 もう会話は無意味と判断した蒼也が話題を切り替えた。 ……正しい判断だな…… まあ、薔薇さんの表情が険しくなったのはいうまでもないけれど… 「まあ、結果的にはね……犠牲も払ったけど。」 あんの極悪腹黒サド少女。 ……やっぱり、ひどい目にあった 「んー。まあ、おれの予想じゃちょっと歌わされて金払わされただけだろ?」 蒼也がはははっと笑う。 蒼也は知らないんだよ…あいつ、おまえには優しいし… それに、それだけならぼくだって笑えるさ… そのくらいなら…! 「歌なんて勿論、踊らされて、変な薬飲まされて (呂律が回らなくなって歌ったら舌を噛んだとは言わない) ドリンクバーのジュースすべてブレンドしたやつ飲まされて、 財布の中身気づいたら全部なくなってて返して欲しけりゃまたカラオケ連れてけって… 今度は蒼也、薔薇さん、茜月と…今回の代金は貸しとくって、利子込で返せって…」 しばしの沈黙。 「…………ぇ。」 蒼也、絶句。呆然。 まあ、普通の人の反応だな…本当に嘘偽りはないし。 全く……犯罪ものだし。友達にするには消費が激しすぎる…… 「あはは……あはははははははははははは!流石成瀬さんっ!」 薔薇さん、嘲笑。大爆笑。 流石、似たもの同士。性悪同士。